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  • 執筆者の写真うらのりょうた

心に沁みる『月まで3㌔』読んでみた


静岡県浜松市の浜松駅で心の赴くままに電車を降りた。兵庫県から神奈川県に向かう途中。無性に本が読みたくなった。夕方の6時頃、終電まではまだ余裕がある。私は吸い寄せられるように駅前の商業施設に入った。8階に入居する創業1872年の老舗「谷島屋書店」。天井にはクジラの腹のような模様をしたオブジェがぶら下がっている。

浜松駅前の商業施設「メイワン」

谷島屋書店

「当店が日本一売ってます!!!」。店に入ってすぐ店員の手書きPOPが目に留まった。「日本一売れてます」ではないところに惹かれる。本の売り上げが日本一なのではなく、この店の売り上げが日本一なのだ。

谷島屋書店の一等地

新しい香りがするまだ人手に触れてない本を手に取る。タイトルは『月まで3㌔』。浜松市に実在する場所が舞台の小説だ。

当店が日本一売ってます‼︎!

浜松市が舞台の作品

仕事と家族を失い死に場所を探す男、結婚に縁がない四十路の女性、中学受験のストレスに悩む少年、母を失い心に穴が空いた父娘。


日々の生活に疲れた方に。誰かの心ない言葉に傷ついた方に。折れそうな心にそっと寄り添う6つの物語は小さな感動の連続だった。派手さはなくても、ぬくもりを感じ、心に沁みる。


作者の伊与原新さんは東京大学大学院で地球惑星物理学を研究。深い学識に裏打ちされた、文学としての美しさと科学の神秘が織り交ざった一冊だった。

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